KNOWLEDGE

最新データで導く快適睡眠への道!

  • 40 代の約3 割は睡眠で休養がとれていない

    日本人の睡眠時間は、諸外国に比べて少ない傾向があります。日ごろから睡眠不足を感じている人も少なくありません。

    「日本人を対象に行った調査でも、40 代の約3 割が睡眠で休養がしっかりとれていないという結果が出ています」と話すのは、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部部長の栗山健一先生です。

    厚生労働省の「2019(令和元)年国民健康・栄養調査」では、6 時間以上8 時間未満の睡眠をとっている人の割合は、年代で差があるものの、総じて5~ 6 割程度で、とくに40 ~ 50 代では少ない傾向にあります。1日の平均睡眠時間が6 時間未満の人が、男女ともに約4 割と、睡眠不足の人が多いことがわかります。また、週に3 回以上、日中に眠けを感じたと答えた人の割合は、 男性30 代37.4%、40 代32.6%、女性30 代43.0%、40 代42.1%となっていました。

    「睡眠不足は、さまざまな生活習慣病と深い関係があり、うつ病などの脳の病気とも関係しています。健康維持のためにも睡眠不足の解消に努めることが大切です。睡眠時間を確保するとともに、できるだけ良質な睡眠を効率よくとれるように工夫しましょう」(栗山先生)

◆睡眠不足が招く健康リスク◆

高血圧

睡眠時間が5 時間以下だと高血圧のリスクが2 倍

 

うつ

睡眠が2 時間足りないとうつ傾向が約2 割ふえる

 

肥満・糖尿病

睡眠不足で肥満が1.3 倍以上、 糖尿病が約2.5 倍に

寝ているはずなのに日中眠い…
「閉塞性睡眠時無呼吸」に注意
(睡眠時無呼吸症候群)

睡眠時に呼吸が止まり眠りが浅い状態に

「閉塞性睡眠時無呼吸」は、睡眠中に短時間、呼吸が止まったあと、イビキとともに呼吸が再開することをくり返すもので、睡眠時無呼吸症候群とも呼ばれています。

閉塞性睡眠時無呼吸は2 型糖尿病や高血圧症などの生活習慣病のリスクを高めることがわかっています。重症になると、心筋梗塞などの心血管疾患、脳梗塞などの脳血管疾患など深刻な病気を招くこともあります。

閉塞性睡眠時無呼吸があると、睡眠時に酸素欠乏状態となり、眠りの質が著しく低下するため、きちんと睡眠時間をとっているのにもかかわらず、疲労感がとれなかったり、日中に強い眠けを感じます。下記のチェックであてはまる項目がある人は、医療機関の受診を検討しましょう。

閉塞性睡眠時無呼吸のチェック

あてはまる項目をチェックしてみましょう。1つでもあてはまったら、閉塞性睡眠時無呼吸が疑われます。

 

◻︎よくいびきをかくと 家族にいわれる

◻︎睡眠中に呼吸が止まっていると

◻︎家族にいわれたことがある

◻︎一定時間以上眠っているのに疲労感がとれない

◻︎日中、強い眠けに襲われる

◻︎気づいたら居眠りをしている

◻︎夜中に息苦しくなって 目が覚める

快適睡眠のための新常識

  • 日光を浴び、朝食を食べて体内リズムをリセット

    朝起きたら、カーテンを開けて日光を浴びましょう。外に出なくても窓際にいるだけでもOKです。また、朝食をしっかりとりましょう。この2つを行うことが、体内リズムをととのえるスイッチになり、夜の寝つきや睡眠の質をよくします。

ここがポイント!

仕事などで朝が早い人は、起床時に明るい照明を浴びるだけでも、体内リズムをリセットする効果が期待できます。

日中は活動的に過ごすことで睡眠の質を高める

日中は活動的に過ごすことで睡眠の必要性が高まり、睡眠の質が上がります。デスクワークが中心の人は、日中から夕方にかけて軽い運動をするとよいでしょう。適度な疲労感で夜の寝つきをよくして、夜中に目が覚めるのを防ぐ効果があります。

明るすぎるリビング照明も睡眠に悪影響

寝つきや睡眠の質をよくするには、寝室は真っ暗にするとよいでしょう。睡眠ホルモンであるメラトニンは、光によって分泌が阻害されるためです。寝室以外にも夜を過ごすリビングの明るさも大切です。リビングの照明が明るすぎるのも、メラトニンの分泌が阻害され、眠りを妨げる原因になります。

ここがポイント!

リビング照明は、明るすぎないように調整するか、蛍光灯を変えるなどしましょう。色は昼白色ではなく、電球色(暖色系)のものがおすすめです。

副交感神経のスイッチをオン

寝る前には、自律神経のうち、リラックス状態をつくる副交感神経の働きを高めることが大切です。入浴(下参照)に加え、以下のことが役立ちます。

  • 静かな音楽を聴く

     

    交感神経の働きを高めて心身をリラックスさせます。

  • 読書

     

    副交感神経の働きを高めて眠りを促します。タブレットではなく紙の本で読書を。

  • アロマ

     

    自分がリラックスできる香りを選びましょう。たとえば、リラックス系のラベンダー、カモミール、ヒノキなど。

  • 寝る前はぬるめの入浴で体温を上げる

    寝る1 ~ 2 時間前に入浴するのが効果的。39 ~ 40℃のぬるめのお湯に10 分ほどつかり、深部体温をゆっくり上げると、リラックスでき、入浴後より体温が徐々に下がって寝つきやすくなります。

取材協力

国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
睡眠・覚醒障害研究部部長

栗山 健一 先生

CONTENTS